CASE STUDY

株式会社日本総合研究所

「NEUTRANS」だから実現できた VRのDX(デジタルトランスフォーメーション)活用の幕開け

  • 「未来について考える力」を強めるコンサルティング
  • VRは発想力を喚起する
  • VRのプロフェッショナルと起こした「ワークショップの変革」
  • 人間同士の関係性の在り方を変革していくVR、そして訪れるかもしれない未来

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。これは「急速な成長を続ける各種テクノロジーを人々の生活に浸透させ、あらゆる面でより良い方向へ変革させる」という意味で、近年多くの企業や団体が、DXの推進を注力すべき取り組みとして掲げています。

株式会社日本総合研究所(以下「日本総研」)でも、シンクタンク・コンサルティング・ITソリューションの三つの機能を有する総合情報サービス企業として、このDXの可能性を探っています。
Synamonの「NEUTRANS」は、一般社団法人デジタルトランスフォーメーション研究機構(RIDX)主催、神戸大学数理・データサイエンスセンターおよび日本総研共催のイベント「KOBE×DXプロジェクト2019:DXミドルマネジメント向け講座~データとデジタル技術が創る未来~」(2020年1月)のメインコンテンツとして採用されました。この取り組みやこれからのDX、そしてVR活用の可能性について、日本総研でプロジェクトを担当した谷口卓也氏、水嶋輝元氏、田中靖記氏にお話を伺いました。

「未来について考える力」を強めるコンサルティング

御社の組織について教えてください。

田中氏:弊社は1969年に「日本情報サービス株式会社」として株式会社住友銀行から分離独立したのが始まりです。現在の「株式会社日本総合研究所」に社名が変更されたのは1989年で、この時にリサーチやコンサルティングといった活動を開始しました。現在、「調査部」、「創発戦略センター」、「リサーチ・コンサルティング部門」、「ITソリューション」の4つの部門があり、我々は「リサーチ・コンサルティング部門」に所属しています。

コンサルティングとなるとプロジェクトごとにメンバーが編成されるイメージですが、皆さんが普段担当しているプロジェクトはどのようなものが多いのでしょうか?

田中氏:実は、ここにいる3人はそれぞれ違うチームに所属しています。私は未来デザイン・ラボに所属し、お客様と10年から30年先の不確実性の高い未来について一緒に考え、事業のアイデアや社会のビジョンについて話し合っています。また、デジタル社会のビジョン構築のために、「デジタル社会の未来シナリオ」を作成したりもしています。

谷口氏:私の場合は、「業務改革」や「IT」といったテーマのプロジェクトを担当することが多いです。田中さんがお客様と創り上げた未来の構想を実現していくために、具体的な方法を一緒に考えるのが私の仕事ですね。

水嶋氏:私はリサーチ・コンサルティング部門の中の「事業開発・技術デザイン戦略グループ」に所属していて、前の二人とはまた少し違った領域を担当しています。お客様の技術シーズや先端の基盤技術を元に、戦略をデザインするようなプロジェクトが多いですね。

田中氏:我々3人は、それぞれ「ビジネス」、「デジタル・テクノロジー」、「デザイン」を担当していますが、この3つの要素はこれからの企業の成長に不可欠なものだと考えています。そしてこれらを融合し、お客様に提供するのが我々の日々の挑戦であり仕事です。また、提供するだけでなく、お客様自身の「未来について考える力」をより強いものにし、組織の力を高めるまでがミッションです。

VRは発想力を喚起する

今回のプロジェクトではDXをテーマにしたワークショップを開催されたということで、こちらについてもぜひお話を伺いたいです。

谷口氏:「KOBE×DXプロジェクト」ですね。このプロジェクトは、神戸大学と日本総研、プロジェクトに参画する会員企業で、新しいコンソーシアムを作り、DXを推進していきましょうというものです。この取り組みの一環で、「ワークショップをVRにするのはなかなか面白いんじゃないか」という話が持ち上がりました。ワークショップ自体はよく使う手法ですが、VR技術と相性が良さそうだ考えたからです。


リサーチ・コンサルティング部門 デジタル戦略&システム・イノベーション グループ コンサルタント 谷口卓也氏

水嶋氏:今回はコンビニエンスストアの360度写真を撮影して、それを「NEUTRANS」内で共有し、顧客目線で問題を発見して解決策を話し合うという内容のワークショップを実施しました。「新しいイメージや没入感を与えることで、クライアントの発想力を喚起する」というのが大事なところですが、VRを活用すればそれが実現できるのではと期待しています。

おっしゃる通りです。ただ、VRコンテンツも様々なものがありますが、この中で「NEUTRANS」を選んだ決め手は何だったのでしょうか?

田中氏:ワークショップをVRで行う場合、「同空間」、「資料の共有」の機能は必須です。さらにVRならではの没入感を増す演出として、「風景を変える機能」が欲しかったのですが、「NEUTRANS」はそれらの要件をすべて満たしていました。

水嶋氏:私の場合、初めて体験したときに「あ、喋れるんだ」っていう衝撃がありました(笑)。今までにVRは何度か体験したことがありましたが、どれもバーチャルな都市空間を見たり、動画を見たり……と、受け身の体験ばかりでした。だから、アバターが身振り手振りを交えて話しかけてくる、しかもそれがさっきまで隣にいた人だというのが、とても新鮮で面白かったですね。さっきまで隣にいた人だと分かるのに、リアル側にあるプレッシャーなどの制約は感じないというか。VR特有のコミュニケーションの面白さがありました。


リサーチ・コンサルティング部門 事業開発・技術デザイン戦略グループ ストラテジックデザイナー 水嶋輝元氏

谷口氏:そうですね。私は「NEUTRANS」が初めてのVR体験でしたが、水嶋さん同様「面白い!」と素直に思いました。なおかつ、体験してすぐに自分の担当する「IT現場の業務改革」において活かせる想像ができましたね。業務改革を進める上では具体的な解決策が求められますが、その提案にVRが活用できる可能性を感じました。

VRのプロフェッショナルと起こした「ワークショップの変革」

なるほど!今後使うイメージが湧いたというのは大きいですね。実際ワークショップで使われた感想はいかがでしたか?

谷口氏:参加者の皆さんからの反応は良かったですね。360度画像を視聴してもらうデモ的な立ち位置のものと、中でコミュニケーションを取りながら進めるワークショップの2つのコンテンツを用意しましたが、特に後者が好評でした。参加した方からは「没入感があった」、「学校教育でも使えそう」といったご感想を頂きました。


ワークショップの様子

水嶋氏:次世代のテクノロジーに触れてもらうという観点でも非常に良かったと思います。また、Synamonさんからのアドバイスで、「NEUTRANS」以外のコンテンツも休憩時間中に体験できるようにセッティングしましたが、こちらも好評でした。我々が実現したいことに対して、真摯に相談に乗っていただき、専門家ならではのアドバイスを頂けるのは本当に有難かったです。準備から実行まで一通りお手伝いいただきましたが、一緒に創り上げていく感覚があってとても心強かったですね。

光栄です。具体的にどういったサポートがお役に立ちましたか?

谷口氏:我々はVRでやりたいことは提案できても、具体的な技術の限界についてはまだまだ分からないことが多い状態でした。そういう時にSynamonさんに相談すると、「ここまではできるけど、ここからはできない」と教えてくれた上で、「これを実現したいならこのような方法がある」と、具体的な解決策を毎回提案してくれたのが有難かったです。

水嶋氏:対応も非常に素早くて、打ち合わせの度に解決策をVR空間上で、見える形で提案してくれるのもとても良かったです。VRならではのサポートですよね。

機材のレンタルからセットアップもアドバイスを頂きつつ進めましたが、とても助かりました。我々だけでは、あのクオリティのものは準備できなかったかもしれません。VRのプロフェッショナルだなと感じました。


機材セッティングの様子

田中氏:振り返ってみると、今回の取り組みはまさに「ワークショップの変革」だったと思います。今後のビジネスシーンをガラッと変える大きな可能性さえ感じました。ワークショップそのものは、あらゆるビジネスシーンで既に活用されている手法です。これがVRで実施可能ということは、VR技術は今後、日常業務に溶け込んでいけると確信しました。

水嶋氏:確かに、特別なシーンで活用する技術ではなく、日常的に活用できる技術としての可能性を感じました。研修やトレーニングだけではなく、企画などのホワイトカラーにおけるユースケースも今後増えていきそうです。

人間同士の関係性の在り方を変革していくVR、そして訪れるかもしれない未来

今後の日常的な活用についてお話があがりましたが、御社内でもDX推進はテーマになっているのでしょうか?

田中氏:もちろんです。我々は企業のDXを支援していますが、これはつまり「我々自体も変革を問われている」ということでもあります。DXの流れで叫ばれる「トランスフォーメーション」の本質というのは、「関係性が一時的でなく、同時的で、継続的なものに変わっていくこと」であり、これを叶える技術の一つがVRやXRであると考えています。我々コンサルタントとお客様の関係性を構築する手段として、必須なものだと個人的には感じます。


リサーチ・コンサルティング部門 未来デザイン・ラボ シニアマネジャー 田中靖記氏

なるほど。DXにおけるVR技術、XR技術はかなり相性が良さそうですね。

田中氏:良いと思いますよ。例えば、XR技術を活用すれば、「結果」だけではなく、「プロセス」のデータを取得できます。どう迷ったのか、どう比較したのか、といった、リアルの選択行動に近い情報です。このデータは、商品開発や設計、マーケティング活動において、かなり有益なフィードバックになります。

あとは、商品開発等の過程における検討会・ワークショップ自体をVR空間内で実施するのも面白いですよね。データがデジタル上に再現可能な形で残るので、その検討会の雰囲気を生のものとして体験、共有できる。これによって、変換したデータをやり取りするよりも、生まれたアイデアを開発・設計に落とし込みやすくなると期待しています。

対顧客であれ、対社内であれ、あらゆるシーンでの人間同士の関係性の在り方が、VR技術によって変革していくと考えています。

水嶋氏:プロセスの記録というと、打ち合わせでVRを使用したときに声のトーンとか会話の内容を記録して、適切なフィードバックをくれるようなものも面白そうですね。こうなるとバーチャルの会議の価値がリアルの会議を超えそうです。

谷口氏:教育や訓練は今ある技術でもかなり効果が出そうです。3Dモデルで店舗を設計してVR空間内に組み込めば、内装が完成する前から店舗内で研修ができたりします。そうすればロケットスタートでオープンもできそうですよね。

あと、5Gの普及もXR技術の活用を後押ししそうです。大容量・低遅延・多数同時接続の要素が加わって、今すでに共有できる情報に「リアルタイム性」がプラスされる。VR空間内でライブ配信も可能になるので、遠隔地で発生した問題のボトルネックを把握したり、関係性の最適化を検討したり……といった活用がさらに進みそうです。

聞いていて非常にワクワクしますね!ぜひ一緒に進めていければと思います。

田中氏:そうですね。実証実験だけではなく、お客様にお届けできるものを一緒に作っていきたいですね。

谷口氏:「NEUTRANS Consulting」……とか生まれたりするのでしょうか(笑)。

水嶋氏:将来的にはあり得るかもしれないですね。この辺りも含め、引き続き楽しくご相談させていただきたいです。もちろん、「NEUTRANS」上で!


左より水嶋輝元氏、田中靖記氏、谷口卓也氏

谷口さん、水嶋さん、田中さん、ありがとうございました!

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