CASE STUDY

株式会社ローランド・ベルガー

VRだからテレビ会議の「そこにいない」壁を取りはらえる
コンサルファームが見出す「NEUTRANS BIZ」の活用事例

  • VR体験に衝撃を受けて社内に専用部屋までつくった
  • VRの良さを伝えるのにぴったりなNEUTRANS
  • 専門家の知識があつまるバーチャル空間をつくりたい

VRの普及が期待されている分野のひとつに、コミュニケーションがあります。インターネット越しにアバターの体でバーチャル空間に入り、離れた場所同士でも顔を突き合わせたように対話できる──。リアルの仕事場でも日常的に交わされる雑談や、関係者が一堂に会する会議などでコミュニケーションが生まれ、新しいビジネスが生まれることがありますが、VRなら空間を超えて実現できるわけです。

そんな可能性に注目する1社が、世界35ヵ国で事業展開している欧州系最大のコンサルティング・ファームのローランド・ベルガーです。同社の東京オフィスではSynamonの「NEUTRANS BIZ」を利用し、海外オフィスとコミュニケーションする「シスターオフィスプロジェクト」を立ち上げました。NEUTRANS BIZの今と将来に対する期待を、同社でVR導入を推進している岡村智明氏と蒲原麻央さんにインタビューしました。

左より岡村智明氏、蒲原麻央さん

VR体験に衝撃を受けて社内に専用部屋までつくった

ローランド・ベルガーの会社概要を教えてください。

岡村氏:弊社は1967年にドイツで設立したコンサルティング・ファームで、主に戦略コンサルティングが業務です。日欧米だけでなく、中国、東南アジア、南米、アフリカ、中東など全世界で事業を展開していて、スタッフはコンサル担当だけで2,400人を超えています。ちなみに日本のスタッフは100人ぐらいで、大手メーカーや商社、金融、アパレル、消費財など、幅広い分野に関わっています。

ジャンルが広いと様々な出自の方が働いていそうです。

岡村氏:そうですね。元が医者だったりエンジニアだったりと、みなさん多様な背景を持っています。

お二人はVRきっかけでローランド・ベルガーに入ったという?

岡村氏:いえ、そうではなく、私は社内ITエンジニアとして入社しました。その直後、社長の長島から「岡村さん、VR興味ある?」と聞かれて「興味はあります」と答えたところ、エクシヴィの近藤社長(元Oculus JapanメンバーでVRエヴァンジェリストのGOROman氏)のところに連れて行かれて、初めてVRを体験しました。
そこで衝撃を受けて翌日にVRゴーグルを注文し、さらに部署まで立ち上げて、デモが増えてきたのでVRを常設してすぐに体験できる部屋までつくってしまったという感じです。

部屋まで! すごいスピード感です。

岡村氏:やはりVRは体験しないとわからないですよね。しばらくの間、もともとのITエンジニアと二足のわらじを履いて、昼にIT、夜にVRという生活を送っていました。もちろん弊社のクライアントにかぶってもらってVRの価値を感じてもらうのも目的なのですが、社内のコンサルタントに対しても知ってもらう機会を増やしたかった。なにせ、VRの認知度がまだまだ低くて……。

もったいないことに、本当にそうなんですよね。

岡村氏:体験していない方もまだ多いです。

蒲原さん:VRというとゲームのイメージが強くて、「ビジネスに使えるの?」みたいな話も出ます。

岡村氏:クライアントからは「VRって何ができるの?」とよく聞かれますが、「何でもできますよ」って。すべてつくれますよという。

本当にそうです。一番印象に残っているVRソフトは何でした?

岡村氏:最初に驚いたのはOculus Riftの操作を覚えるためのチュートリアルソフト「Oculus First Contact」で、かぶった瞬間に「何だこりゃ!?」と。ものがつかめるし、重力も再現できるし、と衝撃を受けました。それからしばらくの間、コンサル会社でVRは何に活用できるだろうかと考え、その上でクライアントにも可能性を説いていたのですが、ただ話を聞いてもらうだけで発展がなかった。
だから途中からクライアントにもまずVRを楽しんでもらって、じゃあ何に使えるかとアイデアを出してもらう方向に切り替えました。その中でデモとして一番伝わりやすかったのが、「NEUTRANS」でした。

それはなぜ?

岡村氏:空間に絵は描けるし、写真も出せるし、3Dも見せられるなど全部入りなので、来訪されたクライアントには必ず体験してもらっています。特に大きいのが複数人で同じ空間に入れるという点で、VRというとまだまだ1人でやるものというイメージを持っている方も多いのでその価値観を覆しています。
初めてNEUTRANSを体験したのは2017年の後半ぐらいで、操作が自然ということに驚き、遠くのものも容易につかめるし、巨大なスクリーンに映像も流せるので、いろいろなことに使えそうだと直感しました。そこで2017年内にデモ版をお借りし、2018年5月に「NEUTRANS BIZ」を導入して、それから社内で定期的に体験会を開いている状況です。うちの長島社長も気に入っていて、「これ本当にすごいから!」と会う人に宣伝していたりします。

VRの良さを伝えるのにぴったりなNEUTRANS

具体的にNEUTRANS BIZをどのように活用していますか?

岡村氏:まだ私たちの中でも手探りの状況で、どんな風に使えるかというのを実験しています。先日気づいたのは、実在するデモルームで360度映像を撮影して、それをNEUTRANS BIZの中で再生すると「えっ、何これ? リアルタイムの映像?」と錯覚してしまうことです(笑)

同じ空間で過去と今の映像を混ぜる「SR」(代替現実)っぽいです。

岡村氏:ほかには各国のオフィスをつなぐ「シスターオフィス」というプロジェクトを進めています。

シスターオフィス?

岡村氏:簡単に言えば姉妹オフィスですね(笑)

なるほど、そのままでわかりやすい!

岡村氏:社員間同士もっと会話の密度を上げて、多様性を受け入れていくようにしましょうという目的です。コンサルタントって、自分が担当する業界やプロジェクトでは盛んに意見交換していますが、だいたい多忙なこともあって、異業種とふれあう機会をほんとうはもっと持ちたいのに実現できないことも多いんです。
一方でまったくつながりのない人と会って「いきなり話せ」というのもハードルが高いので、まずは同業のコンサル同士なら話しやすいだろうと。ただ同じオフィス内で話しても多様性の幅が狭いので、育ってきた文化が違う海外のオフィスも混ぜて交流できれば刺激になって、違った見方がもてるんじゃないかという意図です。

多様性の気づきのためのVR活用というのが興味深いです。ネット越しにNEUTRANS BIZのバーチャル空間に入って会話するという感じでしょうか?

蒲原さん:プロジェクト自体はウェブカメラと大画面モニターを使うなどいくつか手段を用意していて、そのうちのひとつがNEUTRANS BIZです。初対面で面と向かってだと緊張してしまいますが、アバター同士だと気兼ねなく話せる。

岡村氏:みんな話してみたいけど、そのきっかけがなかなかない。シスターオフィス全体でもどうやって話題のきっかけをつくるかというのが課題で、その点でもVRなら話しやすいんじゃないかという期待はあります。

現在はどの国で展開していますか?

岡村氏:ドイツのミュンヘン、フランスのパリ、中国の上海、そして東京です。東京では今年1月からスタートし、海外は2月ぐらいから2人で行脚して機材をセットアップして回りました。滞在1日半というハードスケジュールのときもあって……。

スゴい! VR活用のために海外出張している感じですね。

蒲原さん:海外オフィスではVR未経験というスタッフも多く、口で説明するよりも実際にかぶってもらって「こういうことだよ!」と理解してもらうほうが早いんです。

岡村氏:まずNEUTRANS BIZでペンを持ってもらい、絵を描いてVRは三次元だということを実感してもらいます。その上で、バーチャル空間の大型スクリーンに画像や動画を出したり、3Dのボールを持って投げて重力があるということを理解してもらったりして、最終的に先ほど触れた東京のデモルームの360度動画を「東京オフィスにテレポートしよう」といって流します。

蒲原さん:コミュニケーションに関しては、日本人は対面式だと緊張しがちですが、アバター同士だとすぐにうちとけて、カジュアルに会話が始まっていると感じました。逆に海外のスタッフからは、アバターじゃなくて自分の姿でVRに入りたいという意見が意外と多かったです。

ネットの使い方の文化の違いですね。面白いです。

蒲原さん:それから、VRは気軽にコミュニケーションを取れるのでブレストに向いているけれど、重要な話をするときは相手の細かい表情を見たいからテレカン、という風に使い分けるといいよねという意見もありました。

専門家の知識があつまるバーチャル空間をつくりたい

逆にいうと、テレビ電話では実現できない価値がVRでのコミュニケーションにあるという。

岡村氏:何度もお会いしてるお客様だけど、もう少し距離をつめて話したいシチュエーションにも合うと思います。テレビ会議は顔を見られる安心感がありますが、モニターの壁がある。その距離感を縮められるのがVRで、分かってもらうためにわざわざバーチャル空間でそばに寄っていって「近くにいる感じがしませんか」と話しかけています。みんな驚いてくれて、そこは普通のテレビ会議とは大きく違う。

物理的には遠いけど、バーチャルだから近く感じられるという。

蒲原さん:距離的にすごく近くに感じますよね。

岡村氏:そこでハイタッチを「パーン」ってやって、すぐ近くにいることを示すだけで、すぐに会話が弾むのを実感しています。

確かにテレビ会議だと、同じ場で一緒に何かやってるという感覚は出にくいですよね。

岡村氏:だから話し合いが堅苦しいまま終わることも多いです。その壁を超えられるVRの価値を広めるために、できるだけ定期的に体験を続けていきたい。

非常にアツい想いを感じます。最後に、将来的にVRをこう活用できればいいという展望はありますか?

岡村氏:やはりなるべくかぶっている時間を増やしたいですよね。今は会議のような場をセッティングして、電話でもビデオでもVRでも事前に開始時間を決めて使っていますが、特別なことがなくてもVRに入ってくるような場にできるのが望ましい。

メガネぐらいに気軽にかけられるような、ハード側の進化も待たれます。現実だと周囲のテーブルなどに書類をいくらでもひらけますが、パソコンやスマホの画面だと表示できる数が限られる。それがVRなら周囲の空間に好きなだけ置いて作業できるみたいな未来が来そうです。

岡村氏:そんな状況になれば、隣に誰がいようとVRに入れば自分だけの世界で集中できるので、積極的に活用したくなりそうですね。

NEUTRANSなら、プロジェクトごとにバーチャルの部屋を用意しておいて、そこに行けば専門資料が集まっているみたいな環境もつくれそうです。

蒲原さん:バーチャルの部屋に掲示板みたいなものがあって、「こういう知見を持っている人はいませんか」とメッセージを残しておくとコメントが返されて、バーチャル空間で意見を交わせるような場になるといいですよね。

岡村氏:自動車や金融など、各ジャンルのエキスパートが集まっている部屋があるといいですよね。

蒲原さん:そこに集まらないとその人の知見が得られないような仕掛けがあると、みんな入ってくるかもしれない。

岡村氏:VRにはそんな大きな可能性を感じているわけで、ぜひNEUTRANSを積極的に活用していければと考えています。