CASE STUDY

株式会社ジィ・シィ企画

「アバターだから、発言できた」 バーチャル空間におけるアバターコミュニケーションの可能性

  • アバターコミュニケーションの可能性を検証したい
  • オンラインコミュニケーションに生まれた熱
  • バーチャル空間でつながる情報、生まれるアイデア
  • バーチャル空間でアバターと協働する未来に向けて

我々の日常に浸透しつつある、「アバター」。一度は耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
ヒンドゥー教、サンスクリット語の「Avatāra(神の化身)」を由来としたこの言葉は、「化身」「具現」「権化」といった意味を持ち、現在ではゲームやSNSにおける自分の化身として浸透と活用が進んでいます。

そんな今、この「アバター」を活用したまったく新しい事業を進めているのが株式会社ジィ・シィ企画(Global Communication Planning Co., Ltd.)(以下「ジィ・シィ企画」)です。
「日々の感謝や驚きの“!”にジィ・シィ企画がいる」という意味を込めた「“!”…そこに GC」をスローガンに、消費者の生活を支えるカード決済システムの構築やパッケージ提供といった事業を進めている同社では、2019年初旬、主軸事業とは全く異なる新規事業をスタートさせようと動き出していました。
ビジネス向けで既存、新規問わず多くの顧客に喜ばれるサービスを提供すべく、たどり着いたのはヘルスケア市場。しかし、健康とは一日で成るものではなく、日々の継続が不可欠なものです。そこで考え付いたのが、ヘルスケアデータをアバターで可視化し、記録結果によってアバターが変化する育成ゲームのようなヘルスケアアプリケーションでした。
さらに、ここで育てたアバターを自身の分身として活用し、バーチャル空間を活用した新しい働き方を提供することで、従業員の心身の健康をサポートする…。「NUCADOCO」と名付けられたこの法人向けサービスは、2021年4月にリリースが予定されています。

今回「NEUTRANS」は、アバターを用いたバーチャル空間内のコミュニケーションツールとして、「NUCADOCO」リリースに向けた実証実験に採用されました。この実験では、「アバターを利用したVRコミュニケーションで体験者の感覚はどのように変わるのか」、「Web会議ツールと比較すると何が違うのか」、といった内容のアンケートを実施し、結果を数値化しています。
この実証実験やその先に描く未来について、ジィ・シィ企画で「NEUTRANS」の導入と実証実験の企画・進行を担当した事業戦略企画室 室長 村本 充氏にお話を伺いました。

アバターコミュニケーションの可能性を検証したい


実証実験の様子。今回はこの実験についてお話を伺っていく。

バーチャル空間内のアバターコミュニケーションについて、定量的な結果を出されたという今回の実験ですが、改めてその概要をお伺いしてもよろしいでしょうか。

村本氏:今回の実証実験は北海道大学の学生25名にご協力いただき、Web会議ツールと「NEUTRANS」それぞれで自社(ジィ・シィ企画)の会社説明とテーマに沿ったグループディスカッションを行い、ツールごとの体験を比較するというものにしました。皆さん就職活動中の学生というのもあり、内容は新卒採用で行われるようなものに合わせています。

Web会議ツールのような、現在広く浸透している比較対象があるのは被験者視点としても、結果を見る側からしてもわかりやすそうです。ちなみに、この実証実験を行うきっかけはどのようなものだったのでしょうか。

村本氏:現在我々は、一人につき一つのアバターを活用したヘルスケアや新しい働き方を検討しているのですが、その中で「アバターになると働く上でプラスの効果があるのではないか」という仮説が浮かびました。自分や相手がアバターになることで、コミュニケーションがより円滑になったり、より生き生きと働ける、といった効果です。例えば、普段強面で周囲から怖がられている上司がいたとして、その上司の見た目が柔らかい雰囲気に感じられたら、部下はより話しかけやすくなるんじゃないでしょうか。話しかける側も同様で、より自分に自信が持てるようなアバターであれば実際だと面と向かって言えないことも言えるようになる可能性があるのではないかと考えています。

確かにそう思います。化粧やファッションによって自信がつくという話も聞きますし、自分の外見やそのイメージがコミュニケーションに与える影響というのは少なからずありそうです。

村本氏:そうなんです。ただ、これらはあくまでまだ仮説の段階。今後検証を進めていくためにも、定量的な結果が必要と考えたんです。そこで今回、Synamonさんと合同で企画を進め、実証実験を実施しました。
…ただ、実はあのタイミングだからこそ実施したという理由もあります。
我々が実証実験を実施した2020年6月、7月は、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため、対面のコミュニケーションにかなりの制限がかかっていました。これは社会人にとっても大きな打撃でしたが、学生にとっても致命的な出来事でした。店舗の時短営業や休業でアルバイトが急になくなってしまったという学生が非常に多かったんです。
元々北海道大学大学院経済学研究院長と弊社の創業者に接点があり、学生たちが今困っているという話を耳にして、これをなんとか救えないかという思いで有償で実験に参加して頂きました。この実験は遠隔地を繋げるコミュニケーションツールを使うので、実際に集まらなくても実施できますからね。

そのような背景が…。新しい時代のコミュニケーションの検証兼人助けということで、双方にとって価値が生まれる実験ですね。

オンラインコミュニケーションに生まれた熱

実験当日のこともお聞かせいただければと思いますが、具体的にはどのようなことを行ったのでしょうか?

村本氏:ますはWeb会議ツールを使い、スライドを使って自社の説明会を行いました。そのままWeb会議ツールで「未来の決済手段」や「未来のヘルステック」について学生間でグループディスカッションを行い、少し休憩を挟んだ後、今度は「NEUTRANS」で同様のことを行いました。
グループディスカッションで「NEUTRANS」を使うときには空間内にテーマに沿った画像を複数浮かべてみたりしましたね。こんな感じです(実際にバーチャル空間内に画像を浮かべながら)。


実験当日のように画像を浮かべ始める様子

再現ありがとうございます!(笑)これは新しい形のグループディスカッションになりそうです。実験当日、学生の皆さんの反応はいかがでしたか?

村本氏:入った瞬間に感動していたのがとにかく印象的です。「こんなのがあるんですね、すごいですね!」とみんな子供時代に返ったように遊び始めていました。そしてそれ自体がアイスブレイクの役割を果たしていたようです。
また、Web会議ツールではグループディスカッションの役割決めを立候補制で行ったのですが、「NEUTRANS」ではルーレット機能を使って役割決めを行っていました。調査結果内「リラックス度」の項目で「NEUTRANS」が高評価だったのは、このようなところに理由がありそうですね。


ルーレット機能のイメージ

確かに、コミュニケーションを盛り上げる要素が「NEUTRANS」には多いですね。

村本氏:あと驚いたのが、Web会議ツールでは発言しなかった学生が「NEUTRANS」内では発言をしていたことでした。「近くで、会って話している感覚がある」とのことで、アバターでありながらも現実のような臨場感を体験してもらえたのがとても嬉しかったですね。複数人が集まり、目線を合わせながらわいわい話すことができるのはVRコミュニケーションの大きなメリットだと感じました。

発言量が増えるというのは素晴らしいですね!ちなみに、村本さん自身も会社説明会で学生の皆さんに向けてお話をしていたと思うのですが、その時には各ツールで差は感じられましたか?

村本氏:各ツールでスライドを使い会社説明を行いましたが、「NEUTRANS」の方が説明に熱が入る感覚がありました。Web会議ツールで画面を共有しても、私から見えるのはスライドの情報だけなんですよね。ただ、「NEUTRANS」では話を聞いている相手の反応が見られる。空間を共有しているので、その場で訴えかけるように熱がこもっていくんです。実際にHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を被らないとなかなか理解してもらえないんですが…。

同様の話をバーチャル空間内でHMDを被って登壇した方から何回か伺ったことがあります。反応が返ってくるというのは登壇者側の体験価値として大きいかもしれませんね。

バーチャル空間でつながる情報、生まれるアイデア

アンケート結果を見ると、「アイデアの発散性」についてもVRの方が高評価のようですが、こちらに関してはいかがでしょう。


調査項目の1つ、「アイデアの発散性」のインフォグラフィック

村本氏:やはり、空間に発想を刺激するような情報を浮かべられるのがよかったのだと思います。また、今回はテーマが「未来の決済手段」、「未来のヘルステック」…と「未来」が共通するテーマになっていました。VRやアバターの活用はある意味未来感のある体験なので、相性が良かったのもありそうですね。
ディスカッションの様子を見ていると、バーチャル空間にある情報や個人の考えが次々とつながり、新しいアイデアが生まれていく様子がわかりました。同じ空間で資料や情報を共有し、アバターならではの気軽なコミュニケーションでそれが発展していくような感じでしょうか。

アバターコミュニケーション、そしてバーチャル空間の持つメリットが良い方向に循環しているんですね。

村本氏:アンケートのコメントにも「アバターのコミュニケーションの気軽さから普段言わないアイデアも気軽に発言できた」といったものがありました。これはまさしく我々が持っていた仮説に沿うもので、アバターコミュニケーションに期待する効果が今後狙えるのではないかと考えています。
もちろんすべてがこのような意見ではありませんが、実際に実証実験を行うことで仮説が一部検証できたことはとても良かったと思っています。引き続き取り組みを続けていきたいですね。


実際に画像を並べ、説明をする様子

バーチャル空間でアバターと協働する未来に向けて

実証実験に関して、結果はもちろんですがその経緯や定性的な感覚の部分についてお話いただけて大変興味深かったです!よろしければ、自社内での活用についてもお話を伺えますか?

村本氏:実は自社内でも「イノベーションを起こす装置」として「NEUTRANS」を活用しています。私も所属する事業戦略企画室や、社内でも幅広くメンバーが集う戦略委員会などで使っていますね。実証実験同様、自分たちで使うときも空間に画像をたくさん並べているのですが、アイデアがたくさん出てくるのを感じています。そのアイデアはメモとして空間に残すことで共有したり…。

使いこなされていますね!ちなみに、お気に入りの機能などありますか?

村本氏:いろいろありますが、個人的にはハイタッチがお気に入りです!音とエフェクトで実際にハイタッチをしているような気分になれて楽しいですね(笑)


ハイタッチの様子

とても盛り上がりますよね(笑) それでは最後に、今後の取り組みやSynamonに期待することについて教えてください。

村本氏:自社の話にはなりますが、やはり注力するのは「NUCADOCO」のリリースです。
アバターには大きなメリットと進化の可能性がありますが、そのビジネス利用に関してはまだ理解が少ないのが現状です。この事業を通して、一人一人がアバターで健康を管理するとともに、パラレルな、より新しい働き方ができる社会を実現していきたいと考えています。
「NUCADOCO」アバターと協働したバーチャルオフィス、会議、イベントなど…将来的には、「NUCADOCO」のアバターが「NEUTRANS」上で活動するような未来が実現できればいいですね!

素敵ですね!ぜひ目指す未来に向けて今後もご一緒できればと思います。村本さん、ありがとうございました!

▼関連プレスリリース(日付)
Synamon、採用活動におけるVRの有用性を調査
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000048.000025330.html

▼「NUCADOCO」詳細・お問い合わせについて
「NUCADOCO」サービスやxRを活用した働き方の情報については下記をご参照ください。
URL:https://www.wellbeing.nucadoco.jp/

また、現在「NUCADOCO」は無償トライアルを実施しております。
ご興味のある方は下記よりお問い合わせください。
アドレス:info@wellbeing.nucadoco.jp (株式会社ジィ・シィ企画 事業戦略企画室 宛)

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