CASE STUDY

株式会社 博報堂メディカル

「あえて『無駄』を作り出す、新しいコミュニケーションスタイル」 「NEUTRANS」で前進する医療・製薬業界の今

  • 「NEUTRANS」だからこそ生まれるノンバーバルなコミュニケーション
  • 「VRでやるべきこと」をVRで その先に来るブレイクスルー

我々の身近に欠かすことのできない、日々の健康を支える医療用医薬品。日本では医師の診断の元、医療用医薬品が処方されますが、その扱いには厳重な注意が必要です。そんな繊細な医療用医薬品の適正使用情報を、パンフレット作成などの広告活動によって、医師をはじめとした医療従事者や、患者へ正しく促す役割を担っているのが、今回お話を伺った株式会社博報堂メディカルです。

博報堂メディカルでは上記で示した広告活動のみならず、クライアントである製薬会社の事業、領域、製品のビジョン策定やブランディング、マーケティング戦略立案から医療関係者向けのカンファレンスの実施などまで、幅広いサービスを手掛けています。
その提供サービスの一つが「VRダイブ」。複数種類のVRソリューションを一つのパッケージにまとめ、ユーザーにとって一番適したソリューションを提供、サポートするサービスです。「NEUTRANS」は「VRダイブ」のラインナップの一つであり、医師や製薬会社のMR(医薬情報担当者)を中心にご活用いただいております。

今回はエンドユーザーへサービスを紹介、提供する立場から見た「NEUTRANS」、そしてその先に描く未来について、博報堂メディカル内で「VRダイブ」サービスの新規事業開発を担当している八角潤一氏にお話を伺いました。

「NEUTRANS」だからこそ生まれるノンバーバルなコミュニケーション

製薬業界での活用ということで、お話を伺えるのが楽しみです。まずは貴社が「NEUTRANS」の活用に至るまでの流れを簡単にお聞かせ願えますか?

八角氏:VRに関する取り組みを始めたのは結構前で、2017年辺りでしょうか。当時はVR技術に興味を持っている製薬業界のお客さまを対象に、オリジナルのバーチャル空間を作成したり、VRアプリを開発したりすることを想定していました。ただ、自分たちでスクラッチ開発を少しずつ進めているうちに、技術はどんどん進歩していって…(笑) 自分たちで開発するよりも、Synamonさんのようにプロフェッショナルとして取り組んでいらっしゃる会社の力を借りたほうが良いという判断をしました。

大分前から取り組みを始めてらっしゃったのですね!「NEUTRANS」を使ってみて感じたメリットはありますか?

八角氏:何よりも大きいのは日本語のサポートですね!法人向けで日本語サポートがしっかりしているというのは本当にありがたいです。反応も早いですし魅力的だと思います。何より私が良いなと感じているのは「遠方の人に実際に会っている感覚を得られる」という点です。
他のVRアプリケーションにも同様の機能がありますが、「NEUTRANS」は頷きや手の動き、口の動きといったものでノンバーバルなコミュニケーション*を実現していますよね。そのため、コミュニケーションの濃度が他のWeb会議と比べて高く、大袈裟ですが「人類が新しいコミュニケーションスタイルを手に入れた」と感じました(笑)
*表情、身振り、手振り、姿勢、相手との物理的距離感など、言語以外の情報を介したコミュニケーション


手の動きや口の動きが現実の動きと同期されているため、コミュニケーションしやすい

素敵なフレーズですね!確かに、リアルともWeb会議とも違う感覚がこの空間にはあると私も感じています。

八角氏:あらゆる「技術」は人間の能力を拡張するものだと私は考えているのですが、VR技術はまさに人間同士のコミュニケーションを拡張しているのではないかと。現在一般的に用いられているWeb会議は一方的に複数人に話しかける場面に適していますが、複数人が同時に意見を交換するような場面では話しにくさを感じます。それがVRであればノンバーバルな表現を、ある程度お互いに交換できるため会話の間が掴みやすく、複数人でも話しやすいんです。ブレストなどの知的活動に向いていると感じましたね。またVR空間内でリアルな立体CGを表示できる点も強みだと思います。

今のインタビューでも感じるメリットですね。ブレストなどの知的活動に向いているというお話が出ましたが、その他で相性が良いと感じる場面はありますか?

八角氏:質疑応答やディスカッションでしょうか。あと、医療業界でいうと「症例検討会」という会です。医師が集まって、患者の症例について治療戦略のディスカッションを行うような会ですね。また先ほども申し上げた通り、VRはコミュニケーションの濃度が高く、雑談をしやすいことがメリットの1つとしてあります。多くの医師が論文やWeb講演会などで最新の情報を得ていますが、実はそれだけでなく、医師同士の雑談も情報取得のチャネルとしては重要だと思います。この雑談を生み出すきっかけの1つとして、VRには可能性を感じています。

確かに、雑談から得られる情報というのは普段生活する上でも重要だったりしますね。最近はビジネスシーンでも余白のデザイン、という表現をよく耳にします。

八角氏:まさにそれですね、余白のデザインを可能にする。それで言うと、「非日常の演出」というのも現在効果を感じています。360°の動画や画像を再生して、別空間にワープしてみることで、場の雰囲気が明るく、人同士の距離感が近くなるような感覚があります。


360°画像を共有しているイメージ。ビジネス用途だけでなく、気分転換にも適している

VRならではの楽しさですね!素敵な活用方法だと思います。

「VRでやるべきこと」をVRで その先に来るブレイクスルー

現在、博報堂メディカル様では「VRダイブ」の抱えるソリューション群のひとつとして「NEUTRANS」を採用頂いていますが、提供者から見る「NEUTRANS」の魅力について教えてください。

八角氏:我々はクライアントの課題を解決するためのソリューションパッケージとして「VRダイブ」を提供していますが、「NEUTRANS」はその中のソリューションの1つとして安定して稼働しているので、まずはこれを推薦しているような状況です。とはいえ、クライアントの状況や要望に応じての紹介にはなりますが…例えば、大人数接続を希望されるようなクライアントには、現在別ソリューションを検討していますね。

サービスにも向き不向きはありますからね。他にも、ソリューションを紹介する上で気を付けている点などはありますか?

八角氏:他に気をつけている点としては、「対面でできること、Web会議でできることを無理にVRにしない」という点です。サービスだけでなく技術にも向き不向きはあって、VRでなくても良いものを無理矢理VRで実現しても、肝心のVRの魅力が伝わらず、逆に煩わしさなどのデメリットが先行して、クライアントや医療従事者が不利益を被ると考えています。なので、たとえクライアントから「VRでやりたい」という希望が上がったとしても、VR技術が最適ではないと判断した場合には、「それはVRでやる必要はないと思います」とハッキリ伝えるようにしています。

大切なポイントですね。「VRだからこそ」感が今後VR技術の普及のカギにもなりそうです。

八角氏:いずれ、今のスマートフォンやPCのように、VRをはじめとしたXRデバイスが使われる時代が来ると思います。その時には、その時の状況において使用するデバイスを選んだりすることが可能になりそうですね。

そうですね。XRデバイスの小型化、軽量化はかなりの速度で進んでいるものの、まだ少しVRデバイスの利用には特別感が残っているように感じます。

八角氏:そうですね。でも、スマートフォンが出てきたばかりの頃もそうでしたよね。あの頃は、満員電車で紙の新聞を四つ折りにして読むのが普通の時代でした。スマートフォンを使って新聞を読む人なんてほとんどいなくて、奇妙さすらあったくらいで。それがいつの間にか一部の人たちがスマートフォンで新聞を読み始めるようになり、当たり前の振る舞いとして認められるようになって…。今では、電車内で紙の新聞を読んでいる人は自分の周りではあまり見かけなくなりました。この変化には10年もかかっていないと思います。実際にスマートフォンの所有率は10年間で10倍近く伸びたという調査結果もありますし。VR、XRにもそういうブレイクスルーが近々来るのではないかと思います。

同感です!ぜひブレイクスルーを起こしていきたいですね。

八角氏:医療用医薬品業界を対象とした専門広告会社としては、医師と製薬会社のコミュニケーションを支援する技術として、XR技術を紹介していきたいです。以降はあくまで個人的な話にはなりますが、ゆくゆくは業界に限らず、人と人のコミュニケーションの在り方そのものをアップデートしていきたいという思いがあります。相手や場面に応じてアバターを切り替えてコミュニケーションをとるような世界とか、面白いですよね。

素敵ですね!「XRが当たり前の世界を作る」がSynamonのミッションでもあるので非常に共感します。

八角氏:感染症予防のために出社を控えたり、Web会議の使用頻度が上がったことで、雑談などの「無駄」とされる時間は減りました。ですが、あの「無駄」から生まれるものが大きかったこと、価値あるものだったことも今改めて実感しています。先ほど医師同士の雑談を生み出すという話にもありましたが、XRのコミュニケーションにはこの「無駄」をあえて生み出す力があると思います。今後必要な技術だと強く思いますね。

ありがとうございます。ぜひ、今後もご一緒にXRのコミュニケーションを広めていきましょう。本日はありがとうございました!

 

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