Case study detail

テクノロジーで「働くことを支える」
─パソナが「VRおもてなし研修」に込めた想い

株式会社パソナ

Synamonが提供している 『NEUTRANS SOLUTION」は、バーチャル世界を思いのままにカスタマイズできるVR空間構築ソリューションです。

会議室や店舗、セミナー会場といった「場所」を構築し、複数人がVRゴーグルをかぶってログインすることで、インターネット越しでも本当に会っている感覚でコミュニケーションできるのが大きな特徴になります。

このVRゴーグル越しに「本当に会っている」という感覚は今、ビジネスの分野でも非常に注目を集めているのですが、ゴーグルをかぶって誰かと話したことがない人にとってはなかなかピンと来ないもの。実際、先進的な企業では、すでにその有用性を認めて様々な業務領域で活用する動きが活発化してます。

人材派遣や紹介、教育・研修、再就職支援といった「人を活かす」分野で日本を支えているパソナも、そうした『NEUTRANS
SOLUTION』の導入企業の1社です。2018年1月に、パソナ・キャプランと共同で発表した「VRおもてなし研修」は、講師と受講生が同じバーチャル空間に入って、日本に来た外国の方に対する日本流の「おもてなし」接客の方法を学べる次世代の研修サービスとして活用頂いている。
なぜパソナはVRのビジネス活用に注目して、Synamonをパートナーに選んだのか。同社の取締役専務執行役員、石田正則氏にインタビューして語っていただきました。

「VRおもてなし研修」とは?

VRゴーグルをかぶって、講師と受講生がインターネット越しに同じ空間に入り、「インフォメーションセンター」「店内」「ホテル」「レストラン」といった4つの場面で、どう英語で応対したら外国人観光客に理解してもらえるのかを学べるツールです。講師の中身はコンピューターではなく人間なので、受講生の習熟度に合わせて臨機応変にトレーニング内容を変えられるのがメリットです。

テクノロジーの進化で新しい仕事が生まれる

──はじめに「おもてなし研修」のプロジェクトを始めるきっかけになる、VRに注目されたきっかけをお聞かせください。

石田氏:パソナグループは、人材の派遣や紹介、再就職の支援だけでなく、新しい仕事を開発して働く場を創出したり、育児や介護、福利厚生といった「働くことを支える仕組み」なども提供しています。

そうした「働く」という目線から見ると、ここ数年、世間ではテクノロジーの発達によって、働き方が変わったり、新しい仕事ができてきたりという背景があります。

私たちはこれまでにも、RPA(ロボットによる業務自動化)やデジタルマーケティング、サイバーセキュリティーなどの分野で、テクノロジーの発達で生まれた仕事に「どうやったら自分が働けるのか」という教育研修を行ったり、実際に仕事ができる人材を派遣してきました。

──VRに限らずテクノロジーを積極的に取り入れて、「働くことを支える」という自分たちのミッションに活かしてきたわけですね。

石田氏:「これからある仕事」と「なくなる仕事」というのは、労働や雇用がテーマの我々としては、いち早く働く人に伝えなければいけない。

「この仕事は、こんなスキルを付けたらステップアップできるよ」とか、「新しい仕事ができたから、みんなこういう方向に向かおうよ」と呼びかけているわけです。

そうした中でVRというテクノロジーは、オリンピックや次世代の新たな働き方などとも関連しており、これから活用事例が多く出てくるだろうと予測して、2017年から自社でも取り入れることを決めました。

──VRゴーグルはかぶると別世界に行ったような錯覚を覚えますが、Synamonで『NEUTRANS』の機能デモを最初に体験されたときにはやはり驚かれましたか?

石田氏:VRについては、人間の五感に新しい刺激を与えてくれて、何か新しいものを生んでくれるという感覚はありました。さらに『NEUTRANS』システムの機能デモを体験することで、「おもてなしの研修」のような、動作やニュアンスを教えるという目的ではすごく効果を発揮するだろうと直感しました。

また、我々がこれまで取り組んできた「雇用を生む」ことにも展開できるなと感じました。例えば、自動車を作る際には、「設計、デザインする」「実際にパーツを作り組み立てる」「出来上がった製品をオペレーションする」「メンテナンスをする」という、大まかに4つくらいの仕事がありますよね。1つのものが出来る際、それに関する仕事が大体3、4つくらい生まれます。

VRに関しても、コンテンツのデザインとかメンテナンスとか様々な仕事がある。そこでうまれる多様な仕事を、働きたいと願う人々に提供できるというところで、「これは新たな可能性が広がりそう!」と考えました。

「おもてなし研修」などのコンテンツを提供したいという想いもありますが、こうした新しい分野の仕事を、働きたいと願う方々に見せることで「こんな仕事もあるんだ」と知っていただく機会にできたらと思っています。

臨機応変に新しいものを取り入れる頼もしいパートナー

──外国人観光客をおもてなしする方法を教えるという「VRおもてなし研修」のコンセプトは、やはり増加し続ける外国人観光客を抱える今の日本を見て思いついたのでしょうか?

石田氏:そうですね。2017年の訪日外国人客数は2800万人を越え、過去最高を記録しました。多様な文化を持つ方々とコミュニケーションをとったりサポートすることに関しては、テクノロジーだけではまだまだ解決できない部分もある。

そういったことの「事前練習」が、場所の制約を飛び超えてVRの中でできるというのが「VRおもてなし研修」の良いところです。感覚的にはスポーツジムのような、徹底的にトレーニングできる場があれば、より身につきやすいのではないかと考えました。

また、VRでは「目の前に人がいる」という臨場感が研修にもあらわれ、「外国人観光客と対面しても怖くない」と慣れることができます。この「慣れ」こそが、心の壁を乗り越えるために最も必要なことだと思っています。

──その制作にあたって、Synamonの『NEUTRANS SOLUTION』を導入した理由は何でしょうか?

石田氏:VRの事業を始める際、色々な開発会社を検討させていただきました。なかには、非常にリアルな場を再現したVRコンテンツを作られている会社もありました。しかし、おもてなしを学ぶ、という「研修」を実施するにあたっては、そこまでリアルさは必要ありませんでした。

また、VRの世界はテクノロジーの進化が早いため、臨機応変に、常に新しいものを吸収しながら動かれている会社と一緒に取り組みたいという思いがあり、Synamon様とお話をさせていただきました。

──変化に敏感で、その時々で最適なプロダクトを一緒に作ってくれているパートナーとして魅力を感じたということでしょうか?

石田氏:そうですね。前述の通り、仕事のやり方はテクノロジーによって常に変わっていくので、「来年世の中はこう変化するから、この機能は入れたい」という要望に素早く対応してくれる企業にご協力いただきたいと思いました。

──「VRおもてなし研修」で一番こだわったところを教えてください。

石田氏:こだわったのは、「どこを外していくのか」という部分です。実現したいことはたくさんあって、Synamon様には「やりたいことは基本的に実現可能です」と仰っていただきました。まずは多くの方に研修を受けていただくことが重要だったため、よりリーズナブルな展開で事業を回していくことを第一に考えました。
そのためにどこを削っていくべきかは、Synamon様と密にディスカッションしながら考えました。

──実際にVRをビジネス活用して気づかれた点は?

石田氏:「VRおもてなし研修」は、受講生と講師が双方向のリアルタイムコミュニケーションを通して行う研修です。受講生側はもちろんVRの世界に入り込み学びを吸収していますが、実は講師側も、VRで目の前にしたアバターに対して物事を教えるという新しい体験をしています。

VRのアバターは、実際に対面してるときのように、理解してくれたら笑顔で答え、分からないところは不安な顔を見せたりと、精巧な表情を表現できるわけではありません。声や会話の間など、相手のちょっとした反応から気持ちを察して、教え方を変えるという工夫にも繋がっています。

何か説明したあとに少し間があると、「まだ十分に理解できていないのかな」と察して間髪入れずに質問を投げかけるとか、答えを実演して繰り返すとか。モチベーションを上げるために、励ましたり褒めてあげるといったことです。

講師がそうした経験を積み重ねることで、リアルな場でのコミュニケーションにも生かされて、より充実した研修ができるかもしれない。教わる方も教える方も、双方にいい影響が出ているというのが、実際にやってみて初めて分かった点です。

──実際に体験した人からはどういった声が出ていますか?

石田氏:対面の研修ではすごく緊張してしまう人も多いものの、「アバター同士なので、恥ずかしがらずに英語を頑張って話せた」というポジティブな感想をいただきました。
そうやって頑張ってしゃべった英語を講師が褒めてくれるので、そこでモチベーションも上がります。

VRの世界での没入感も相まって、最初は緊張していた方もレッスン中どんどん声が大きくなっていったり、中には立ち上がって話す方もいたりと、みなさんすごく熱心に取り組んでいたと聞いています。

──「デジタル教材で一方的に学習する」という感じではなく、対面のいいところを活かして学習を進めていくという感じですね。

石田氏:Skypeなどの授業と何が違うのかと感じる方もいると思いますが、実際に体験した方からは「使ってみて初めて良さがわかりました」という感想も出ています。「リアルにしすぎない」という制限が、むしろ良い効果を生んでいることも面白い点だと思います。

働き方改革や子供たちの教育への展開も

──今後、「VRおもてなし研修」をどう発展させていきたいですか?

石田氏:百貨店や商業施設などにおもてなし研修を導入し、シフトの空き時間等に研修を受けられるシステムを整えられれば、時間を選ばずスキルアップができると考えています。また、地方勤務でなかなか研修に参加できないという方のニーズにも応えていきたいです。

また、VR研修は場所を選ばないので、講師も自宅から研修を提供できる可能性があります。つまり、今注目を集めている働き方改革にもつながるわけです。
能力があるにも関わらず色々な事情で家庭を離れられないという人でも、こうしたテクノロジーで「場所を選ばない働き方」が実現できれば、自分のノウハウを伝授して収入が得られる。そんな仕組みを整えていくところに発展性があると見ています。

──御社のミッションとVRの相性の良さを感じ、いい未来を生み出す展望を感じます。最後に、今後VRを使ってやっていきたいことはありますか?

石田氏:今後も増え続けると予想されている外国人観光客への対応にむけて、「VRおもてなし研修」をはじめ、迎え入れる仕組みをさらに作っていけたらと考えています。

ビジネスだけではなく、VRで職業体験など、子供たちの教育にも活用できるかもしれません。こういったコンテンツを子供たちに見せていくことで、将来VRの仕事につきたいという夢を語ってくれるかもしれない。様々なことに挑戦していきたいです。

──御制作担当者のコメント

キャプラン株式会社 Jプレゼンスアカデミー事業本部 副本部長 高橋崇之
キャプランは、貿易、航空、旅行業界を中心とした専門人材の派遣・紹介サービス事業、「おもてなし」を基軸としたコミュニケーションマナー・グローバル・マネジメント研修事業、グローバルタレントマネジメントシステムの導入支援事業を展開しています。
訪日外国人の増加に伴い、弊社ではサービス業を中心に集合型のおもてなし研修のご要望が増えております。一方で、地方勤務やシフト勤務のため、おもてなし研修を受けたいけど受けられない。という声も多く耳にしました。VRを活用したおもてなし研修を実施する事で、場所や時間に制約のあるお客様の課題解決をしたいと考え、このプロジェクトに参画しました。
VRコンテンツ制作の経験は無いため、初期段階ではなかなか完成イメージがつきませんでしたが、Synamon様の的確なアドバイスとリーダーシップによって、受講者にとって学習しやすいコンテンツとなりました。同時に、集合型研修とはひと味違ったVRならではの臨場感ある学びを実現する事が出来ました。

株式会社Synamon 代表取締役 武樋 恒
本案件は、まだ先行事例のほとんど無いVR技術の研修ビジネス活用に対して、将来を見据え、共に新しい市場を作っていくという熱い想いと共に導入決定を頂きました。
また、開発要件定義中も自主的に様々なVRコンテンツを体験いただいたり、開発中のテスト体験も積極的に参加いただくなど、とても前のめりにVR開発へ取り組んで頂いたことで、満足度の高いVRシステムが完成したと考えております。
引き続きシステムのアップデートを共に進め、より良い研修システムにしていきますのでご期待下さい!

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